

国税庁では、全国の税務署と国税局を結ぶ基幹システム「KSK(国税総合管理システム)」の全面刷新を進めており、次世代システム「KSK2」の本格稼働が進められています。
従来のシステムからAI(人工知能)やビッグデータ分析技術、AI-OCR(手書き文字の自動読み取り)が大幅に強化され、「税務署はお金の流れや財産をどこまで把握しているのか?」という納税者の関心も一段と高まっています。
相続税の申告において、KSK2の導入によって何が変わり、どのような点に注意して申告や生前対策を行うべきなのか、相続専門の税理士が分かりやすく解説します。

これまでも税務署はKSKシステムを用いて過去の申告履歴や金融機関の入出金データを照合していましたが、KSK2への進化により以下の点が劇的に高度化します。
従来のシステムでは所得税・法人税・消費税・相続税・贈与税などが別々に管理される側面がありましたが、KSK2ではこれらが横断的に一元統合されます。
「過去数十年の給与・事業所得」「不動産の売買履歴」「資産管理会社の決算内容」「生前の贈与履歴」が瞬時にひとつのデータベースとして照合されるため、「生前の収入や保有資産の規模に対して、申告された相続財産が少なすぎる」といった矛盾がAIによって即座に検知されます。
書面(紙)で提出された申告書や添付資料も、高精度なAI-OCRによってすべてデジタルデータ化されます。
集約された膨大なデータに対して機械学習(Business Analytics)を用いた自動スクリーニングが行われ、申告漏れや過少申告の疑いがある事案がピンポイントで抽出される仕組みが強化されています。
税務署は国税通則法に基づく質問検査権により、10年分以上の銀行口座履歴を遡って照会することが可能です。
さらにCRS(共通報告基準)による海外金融機関データの連携や、電子マネー・暗号資産の取引履歴など、デジタル化されたあらゆる資産の動きの捕捉精度が格段に向上しています。
ここで多くの納税者が見落としがちなのが、税務署と納税者の間にある「圧倒的な情報の非対称性」です。
金融機関(銀行・信託銀行など)の取引履歴の保存期間は法律上原則10年となっており、ご自身やご家族が過去の通帳を紛失している場合、10年より前の入出金明細を金融機関から取り寄せることは極めて困難です。
税務署は、被相続人の過去数十年分に及ぶ確定申告データ、不動産・株式の譲渡履歴、生命保険の一時金や各種法定調書、資産管理会社の決算情報などをKSKシステム内に半永久的に蓄積しています。
【注意】
ご家族側が「10年以上前の古い入出金だから、もう記録もないし分からないだろう」と思い込んでいても、税務署側は過去の膨大な蓄積データとAIの照合によって「かつて存在したはずの多額の資金」をすでに把握しているケースが多々あります。
KSK2によって資金の流れの把握や抽出がどれほどデジタル化・高度化しても、「その資金移動が法的に有効な生前贈与であったか、それとも名義預金(相続財産)にあたるか」という実体判断の基準そのものは一切変わりません。
民法上、贈与は「あげます(贈与者)」「もらいます(受贈者)」という双方の意思表示の合致があって初めて成立します。AIが怪しい資金移動を自動検知したとしても、最終的に調査官が確認するのは以下のような「実態と証拠」です。
どれだけシステムが進歩しても、「実体として適正に贈与が成立していたことを客観的に証明できるか」が調査対策の決定打となる点に変わりはありません。
税務調査において、特に指摘を受けやすい代表的な項目は以下の通りです。
配偶者やお子様・お孫様名義の口座であっても、「資金を出したのは被相続人」「通帳や印鑑を被相続人が管理していた」「名義人が口座の存在や残高を知らなかった」という場合、税法上は被相続人の財産(名義預金)とみなされ、相続税の課税対象となります。AIのデータ照合と10年を超える資金の流れの追跡により、不自然な資金移動は真っ先に検知されます。
亡くなる直前や過去数年間に引き出された多額の現金(タンス預金)や使途不明金も、長期にわたる銀行調査と生前の所得データ・生活費水準の照合によって容易に発覚します。
土地の評価誤りや、過去の暦年贈与の加算漏れ(法改正による生前贈与加算期間の延長への対応含む)など、申告内容と公的データの不一致もシステム上で自動抽出されます。
相続税の申告において税務調査の対象となり、追徴課税(過少申告加算税や重加算税、延滞税)などの重いペナルティを受けないためには、事前の正確な準備が不可欠です。
ご自身で確認できる過去10年分前後の入出金明細を徹底的に精査し、家族間での大きな資金移動の趣旨を明確にしておくことが大切です。
贈与契約書の保管や管理実態の確認など、税務署に対して「贈与が法的に成立していた事実」を主張できるよう、生前対策の段階から証拠を整えておきます。
情報の非対称性があるからこそ、税務署がどのようなデータを見て、どこに着目して調査を行うのかを理解している相続専門の税理士に依頼することで、税務調査リスクを最小限に抑えた高品質な申告が可能になります。
鎌田相続税理士事務所(立川相続行政書士事務所)は、日野市(高幡不動駅徒歩3分)を拠点に、多摩市・八王子市・立川市・府中市・昭島市など多摩地域全域の相続税申告・生前対策に特化した専門事務所です。
当事務所では、最新の税務行政やKSK2による税務調査の動向を常に把握し、税務署から指摘を受けにくい安全で高品質な相続税申告書の作成を徹底しております。
「昔の家族間の預金移動が名義預金にならないか心配」「10年以上前の資金移動が税務調査で指摘されないか不安」「過去の生前贈与が有効と認められるか確認したい」という方は、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。
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