【動画】換価分割は相続税より譲渡所得税が重要!?

鎌田相続税理士事務所|立川相続行政書士事務所

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【動画】換価分割は相続税より譲渡所得税が重要!?

 

相談者

 

 

母がすでに他界していて、父がもし亡くなってしまった場合には、父が所有している自宅不動産を売却し、売却代金を私たち子供3人で均等に分けるように父に言われていて、その場合の相続税について相談したいんですが。

税理士

 

いわゆる「換価分割」ですね。

相談者

 

はい。私が父と同居しているので、父が亡くなった後は、一旦不動産全部を私の名義に変更して、10ヶ月住み続けてから売却すれば、敷地全部に小規模宅地等の特例を適用できるんですよね。

税理士

 

いいえ。Aさんの売却代金取得分である3分の1の部分についてしか小規模宅地等の特例を適用できません。

相談者

 

どうしてですか?

税理士

 

売却代金を3人で均等に分けるということは、不動産を3分の1ずつ取得したものとして相続税申告をすることになるので、特例を適用できるのも3分の1だけになります。
仮に不動産全部をAさんが取得したものとして、敷地全体に小規模宅地等の特例を適用するとしれば、Aさんが売却代金を他の2人に渡したときには贈与となり、高額な贈与税が課税されることになってしまいますよね。

相談者

 

なるほど。確かにそれはそれで困ってしまいますね。そうすると、所得税のマイホーム特例も同様に3分の1しか適用できないんでしょうか。

税理士

 

さすが!お察しの通りです。相続税の方ばかりが注目されがちですが、譲渡所得は20.315%と相続税の10%よりも最低税率が高く、基礎控除もゼロになることが多いので注意が必要です。
さらに、3人とも国民健康保険に加入していれば、翌年度の国民健康保険料が3人とも上限まで達してしまうことになります。

相談者

 

それは大変ですね。

税理士

 

はい。特にAさんの場合は他の財産が少額で、敷地も昭和30年代に取得したとのことなので、遺産の分割方法により受ける影響は、相続税よりも所得税の方が大きいと推察されます。

相談者

 

うちの場合は売却収入からマイナスできる取得費が小さいからですね。相続の後の所得税もとても重要なのに、「相続財産が相続税の基礎控除額以下の場合は、税理士ではなく司法書士に相談した方が良い」とネット上でよく宣伝されていますよね。

税理士

 

そうですね。税理士までネット上でそのような説明をする人がいて驚いてしまいます。
でも、遺産分割協議や相続登記まで完了してからうちに相談に来る方の中には、所得税を払い過ぎる結果になってしまっている方もいますが、税務相談はそもそも司法書士の業務の範囲外なので損害賠償を受けることも難しくなります。
相談者:なるほど。やっぱり、税理士にも相談しながら遺産分割協議を進めたほうが良いですね。

相談者

 

ところで、私の親戚の話ですが、自宅の不動産を相続する代わりに他の相続人2人に1000万円ずつ支払ったけど、敷地全部に対して小規模宅地等の特例を適用できたみたいですよ。

税理士

 

それは、「換価分割」ではなく「代償分割」で、他の2人に支払った1000万円ずつは「代償金」ということになると思われます。
不動産を売却せずに相続人がそのまま住み続ける場合には、「換価分割」は選べないので「代償分割」を選ぶことが多いですね。

相談者

 

でも、私の場合は不動産を売却しないと他の2人にお金を支払えないんですが、その場合「代償分割」は無理なんでしょうか。

税理士

 

いいえ。例えば、「売却後に1000万円ずつ支払うものとする」という「代償分割」も可能です。

相談者

 

そうなんですね。でもそれだと、不動産をお金に変えてからの分割ということになってしまって「換価分割」と変わらないような気がするんですが。

税理士

 

確かに、売却後に金銭を他の相続人に支払う場合、「換価分割」と「代償分割」の違いが分かりづらいですね。簡単に言ってしまえば、「換価分割」は「割合」で決める、「代償分割」は「金額」で決める、という違いがあると思います。

相談者

 

それは、明確な違いですね。

税理士

 

はい。したがって、例えば、「代償金として、売却代金の3分の1ずつを支払うものとする」というような分割方法は「代償分割」のようにも見えますが、「換価分割」とみなされてしまいますので注意が必要です。

相談者

 

なるほど。気をつけます。でも、遺産分割協議完了、相続登記、買主募集、売買契約、引渡し決済、代償金支払い、の流れで進めるとなると、遺産分割協議の時点ではいくらで売れるかも分からないのに、代償金の額を決めるのは難しくないですか?

税理士

 

そうですね。もし相続税申告期限前に売買契約まで進めることができそうであれば、「不動産以外の財産の分割と代償金の額については別途協議する」という、不動産登記のみを目的とした遺産分割協議書を先に作成しておき、後から代償金の額を決めて相続税申告を行うことも可能だと思います。

相談者

 

それでもやっぱりかなりタイトなスケジュールになりそうですね。

税理士

 

はい。平等性を追求するとなると、所得税、住民税や国民健康保険料なども相続税申告期限前に計算することになりますしね。

相談者

 

それは大変ですね!相続税申告期限前に代償金の額が決まらないとどうなりますか?

税理士

 

分割が完了したものとして相続税申告書を提出した時点で課税関係が一旦確定することになるので、その後、新たに代償金をもらうことになると、代償金に贈与税が課税されることがあります。

相談者

 

そういうリスクもあるんですね。

税理士

 

はい。でも、そのような理由で売買契約を急いでしまうと、売買金額が通常より安くなってしまうこともありますし、平等性を追求すると結局は「換価分割」を選ぶ方も多いです。

相談者

 

逆に「換価分割」の方が税金の負担が少なくなる場合はありますか?

税理士

 

はい。例えば、被相続人が昭和56年5月以前に建てられた一軒家に一人暮らしだった場合には、取り壊してから売却すれば、所得税で空き家特例を適用できる可能性があります。
もし適用できれば、相続人毎に2000万円もしくは3000万円の特別控除を売却収入からマイナスすることができます。

相談者

 

つまり、うちの場合は「換価分割」の方が所得税申告をする人の頭数が増えて、売却収入が3分の1ずつになる一方で、それぞれ特別控除をマイナスできて、相続人全員でみると所得税の合計額を大幅に減らすことができるということですね。

税理士

 

そのとおりです!

相談者

 

でもうちの場合は、私が実家を出ていかないと空き家特例の対象になりませんよね。私が実家を出ると同居ではなくなり、小規模宅地等の特例が適用できなくなってしまうんですよね。

税理士

 

そうとも限りません。いわゆる「家なき子」として小規模宅地等の特例を適用できる可能性はあります。

相談者

 

でも、「家なき子」って死亡前3年間は相続人が賃貸暮らしじゃないと適用できないって聞いたことがあるんですが。私が実家を出ても3年以内に父にもしものことがあると適用できないんじゃないですか?

税理士

 

よくあるケースであるにも関わらず、なぜかあまり知られていないことですが、相続人が賃貸以外に住んでいた家屋が「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋」、つまりAさんのご実家であれば、「家なき子」の対象になり得るんです。

相談者

 

それなら、やっぱり今のうちに私が実家を出て賃貸に引っ越しておいて、その後、もし父が亡くなってしまった場合には換価分割する、ということにした方が、相続税と所得税の合計の負担が軽減されますね。

税理士

 

確かに現行法上ではそうなんですが、空き家特例は令和9年までの時限立法で、延長されたとしても、特に取得者が複数の場合の特別控除の額の部分についてはさらに見直される可能性も考えられます。その場合には「代償分割」の方が有利になるかもしれません。
私の個人的な憶測ですが、あくまでも、倒壊の虞のある空き家の問題を解消するのが特例の趣旨なので、単独取得よりも取得者が多い場合の方が税負担が大幅に軽減されることが本当に趣旨に適っているのかという問題がありますからね。

相談者

 

確かにそうかもしれませんね。

税理士

 

また、被相続人が老人ホーム等に入所していた場合、入所時点で一人暮らしであった必要があるので、お父様が長期入院された時点で、つまり老人ホーム等に入所する直前にAさんが実家を出たほうが良いということにもなってしまうんですが、そういう手段をとることについても、人それぞれ生じる感情が異なると思います。

相談者

 

そうですね。税金を払えなくなったり、税金のせいで生活が厳しくなったりするのは避けたいですが、あまり税金対策に振り回され過ぎないように、自分たちの状況に合った節税を考えようと思います。
相談者:でもやっぱり相続も所得税まで関係してくると、さすがに複雑過ぎるのでまた相談させてください。

税理士

 

そうですね。お気軽にご相談ください。

 

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