家族信託の相続税贈与税は?

家族信託とは

 家族信託とは、家族間で信託契約を結び、財産の管理を任せることです。つまり、財産を持っている人(委託者)が、一定の目的のために、信頼できる家族(受託者)に財産を託し、受託者は契約に従ってその財産を管理・処分し、得られた利益を、定められた受益者に給付することです。(デジタル大辞泉(小学館)より)
家族信託とは
 認知症等により委託者の意思能力がなくなってしまった場合等に活用される仕組みです。
 委託者=受益者であっても構いません。

 

課税は発生するの?

 委託者=受益者の場合には、所得税相続税贈与税の課税の心配はありません。
 ただ単に信頼できる家族に財産の管理を任せたいということであれば、委託者=受益者でも目的は達成可能です。
 しかし、受益者を他の親族に設定すると、財産の所有権を移転せずして、財産から生まれる収益を他の親族がもらうことができてしまいます。
 これが、財産の移転が無いからといって非課税にしてしまうと、誰も贈与税を納税する人がいなくなってしまいます。
 そこで、信託に関する権利の移転にも贈与税が課税されることになっています。

 

 税法では下記のように規定されています。

 

相続税法第九条の二(贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利)

 適正な対価を負担せずに新たに信託の受益者等が存するに至った場合には、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を贈与(遺贈)により取得したものとみなす。

 

所得税法第十三条(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)

 信託の受益者は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、所得税法の規定を適用する。

 

69の4─1の2(信託に関する権利)

 小規模宅地の特例対象宅地等には、個人が相続又は遺贈により取得した信託に関する権利で、当該信託の目的となっている信託財産に属する宅地等が、当該相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人又は被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族の事業の用若しくは居住の用に供されていた宅地等であるものが含まれる。

 

@父所有の賃貸不動産から発生した収益を子が取得した場合
 ⇒子に直接入金されても父の所得税と子の贈与税が課税される。
信託受益権無し

 

A父所有の賃貸不動産で構成される信託受益権を子が無償取得した場合
 ⇒子に贈与税が課税され、贈与税のため小規模宅地の特例が適用対象外。
 ⇒多額の課税となり損。絶対にやってはいけない。
信託受益権贈与

 

 

B父所有の賃貸不動産で構成される信託受益権を子が相続し、賃貸不動産を孫が遺言により取得した場合
 ⇒信託受益権を子が生前受贈ではなく、相続すれば小規模宅地の特例が適用可能になる。
 ⇒これを実行するには、父が生前に信託契約を締結し、信託受益権を発生させておく必要があります。
信託受益権相続

 

まとめ

家族信託は節税にはならず、むしろ委託者=受益者以外の家族信託はよく検討してから実行しないと大損する危険性があります。
贈与税の課税対象となるかどうかを確認せずに、信託契約を締結してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
しかし、税金以外のメリットもありますので、家族信託が必要な場合は締結前に必ず相続専門の税理士に相談しましょう。

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