代償分割を金銭ではなく不動産等で行う場合

代償財産として不動産を他の相続人に交付することは可能でしょうか?

 

可能です。しかし、譲渡所得税の申告を検討する必要があります。

 

タックスアンサー「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」では、

 

代償財産として交付する財産が相続人固有の不動産の場合には、遺産の代償分割により負担した債務を履行するための資産の移転となりますので、その履行した人については、その履行の時における時価によりその資産を譲渡したことになり、所得税が課税されます。

 

とあります。

 

この根拠となるのは、所得法基本通達38ー7(代償分割に係る資産の取得費)です。

 

38−7 遺産の代償分割に係る資産の取得費については、次による。(昭52直資3−14、直所3−22追加)

 

(1) 代償分割により負担した債務に相当する金額は、当該債務を負担した者が当該代償分割に係る相続により取得した資産の取得費には算入されない。

 

(2) 代償分割により債務を負担した者から当該債務の履行として取得した資産は、その履行があった時においてその時の価額により取得したこととなる。

 

まず、代償分割の定義として「遺産の全部または一部を特定の相続人に取得させ、その代わりに、他の相続人に不足分を代償金として支払うという方法。」というのが、一般的な解釈でとても分かりやすいのですが、上記の所得法基本通達38ー7を理解するにはこの解釈では不足があります。

 

タックスアンサー「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」では、

 

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法です。

 

と解説されており、この解釈を前提とすると、上記の所得法基本通達38ー7を理解しやすくなります。

 

代償分割は次の2つの段階を経て行われることになります。

 

@被相続人Aから相続人Bが土地甲を取得し、その代わりに相続人Cに対する債務を負担する。

 

A相続人Bが相続人Cに債務を弁済する。

 

そして、Aの債務履行のための手段として、金銭によって履行するのか、相続人B固有の土地乙によって履行するのか、という選択肢が出てきます。

 

後者の、「相続人B固有の土地乙によって履行する」を選択した場合、所得法基本通達38ー7(2)により、相続人Cは債務の履行としてその時の価額により土地乙を取得したこととなり、相続人Bはその時の価額により土地乙を譲渡したことになります。

 

相続人Bが譲渡の対価として取得するのは、代償分割により負担した債務の免除という経済的利益ということになります。

 

 

代償分割

 

 

なお、債務の履行により不動産を取得した相続人Cは、相続による取得では課税されない不動産取得税が課税されることになりますのでご注意ください。

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