個人年金にはなぜ「非課税枠」がないのか?

鎌田相続税理士事務所|立川相続行政書士事務所

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個人年金にはなぜ「非課税枠」がないのか?企業年金との決定的な違いを法的に解説


日野市の鎌田相続税理士事務所、代表税理士の鎌田健吾です。


先日のコラムでは、企業年金(確定給付企業年金:DB)の死亡一時金について「受給開始後でも非課税枠が使える可能性がある」というお話をしました。


これに対し、多くの方が疑問に思われるのが「保険会社と契約している『個人年金』はどうなの?」という点です。結論から申し上げますと、個人年金の場合、受給開始後に亡くなって遺族が権利を引き継いだ場合、非課税枠は1円も使えません


ところが、同じ個人年金でも「受給開始前」に亡くなった場合は、事情が全く異なります。


1. 受給開始の「前後」で法律の箱が入れ替わる

個人年金は、亡くなったタイミングが「年金をもらい始める前」か「後」かによって、相続税法上の分類(箱)がガラリと変わります。


亡くなったタイミング 相続税法上の分類 非課税枠の適用

@ 年金受給開始前

第3条第1項第1号(生命保険金)

適用あり(12条1項5号)

A 年金受給開始後 第3条第1項第6号(定期金に関する権利)

適用なし


なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。その法的根拠を紐解きます。


2. 受給開始前はなぜ「非課税枠」が使えるのか

個人年金の受給が始まる前に亡くなった場合、遺族には「死亡給付金(または一時金)」が支払われます。このお金は、法律上以下のルートで非課税扱いとなります。


生命保険金(1号)とみなされる根拠

相続税法第3条第1項第1号では、「被相続人の死亡により支払われる保険金で、保険契約に基づき保険受取人が取得するもの」を、相続財産とみなすと規定しています。
受給開始前の個人年金は、実質的に「死亡保障が付いた積み立て」としての性質を持っているため、この「生命保険金の箱(1号)」に分類されます。


非課税枠(5号)が適用される根拠

そして、相続税法第12条第1項第5号において、「第3条第1項第1号に掲げる生命保険金については、500万円 × 法定相続人の数までを非課税とする」と明記されています。


つまり、受給開始前であれば「保険金の箱」に入るため、堂々と非課税枠を適用できるのです。


3. 受給開始後はなぜ「対象外」になるのか(再確認)

一方で、一度でも年金の受取が始まってしまうと、その契約は「保障」から「資産の受け取り(定期金)」へと姿を変えます。

  • 定期金(6号)への移行: 受給開始後の死亡により遺族が取得する権利は、第3条第1項第6号(定期金に関する権利)に分類されてしまいます。
  • 救済の箱がない: 相続税法第12条には、「5号(保険金)」と「6号(退職金)」の非課税規定はありますが、「定期金(3条1項6号)」を非課税にするという規定はどこにも存在しません


鎌田相続税理士事務所の視点:タイミングの確認が「数百万円」の差に

日野市や立川市にお住まいの方で、「そろそろ年金をもらおうか」と考えていた矢先に不幸があった、というケースは少なくありません。
このとき、「年金の受取を1回でも開始していたか、否か」。この事実関係の確認が、相続税申告における生命線となります。

  • 証券の「年金開始日」を確認: 実際に入金がなくても、開始日を過ぎていれば「後」とみなされるリスクがあります。
  • 企業年金との混同を避ける: 以前の記事で解説した通り、企業年金(DB)であれば、受給開始後でも「一時金」で受け取れば非課税枠が使える可能性があります。


「私の年金は、今どの箱に入っているの?」
その判断を誤ると、本来払わなくてよい税金を払うことになりかねません。


私は、高幡不動尊の門前で皆様をお迎えする際、こうした「法律の箱の入れ替わり」を丁寧に整理し、最も有利で正しい申告をサポートすることを信条としています。不安な方は、ぜひ資料をお持ちになって一度ご相談ください。

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