【動画】子供がいない夫婦の相続は遺言書が必須?

鎌田相続税理士事務所|立川相続行政書士事務所

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【動画】子供がいない夫婦の相続は遺言書が必須?


相談者

 

子供がいない場合の相続の注意点はありますか?

税理士

 

子がおらず、両親も祖父母も他界している場合、配偶者と兄弟姉妹に相続権があり、法定相続割合は、配偶者が4ぶんの3、兄弟姉妹が4ぶんの1です。

相談者

 

夫の財産は夫婦で築いたものなのに、兄弟姉妹に持っていかれるのは癪ですよね。

税理士

 

確かに、台湾は子がおらず配偶者がいる場合の法定相続分は2ぶんの1ですが、世界の多くの国々では配偶者がいる場合兄弟姉妹の相続権がありません。
日本と台湾以外の国では親族関係を確認できるような戸籍制度が存在せず、他の国々では被・相続人の兄弟姉妹を証明すること自体が困難であることも関係していると考えられます。

相談者

 

なるほど。国際的な状況を踏まえても、兄弟姉妹は通常生計も別で普通は自分が他界した場合の財産は全部配偶者に渡ると思ってしまいそうですね。

税理士

 

もしくは、法定相続分のことは理解できていても、兄弟姉妹は相続放棄をしてくれるだろうと思い込んでしまっていることが多いようです。

相談者

 

昔の人は兄弟姉妹も多くて連絡を取るだけでも大変そうですね。兄弟姉妹が既に他界している場合にはどうなるんですか?

税理士

 

甥姪が代襲相続人となります。

相談者

 

そうなるとますます疎遠で人数も多くなって大変そうですね。

税理士

 

特に疎遠な甥姪が相続人になると、自分では連絡を取らずに弁護士に遺産分割交渉を依頼してとりあえず法定相続分を主張することが多くなります。

相談者

 

疎遠だからこそなせる業ですね。付き合いがあると逆に遠慮してしまいますからね。交渉以前に、兄弟姉妹の行方がわからない場合はどのように連絡を取るんでしょうか?

税理士

 

戸籍を辿って他の相続人の現在の本籍地を突き止めて、本籍地の市町村役場で戸籍の附票を取得することになります。

相談者

 

戸籍の附票ってなんですか?

税理士

 

戸籍の附票は戸籍に記載されている人の住所の変遷を記録した書類です。

相談者

 

そんなプライバシーに関わる書類が取得できてしまうんですか?

税理士

 

相続開始、続柄、相続順位が確認できる戸籍謄本等を市区町村役場に持参し、正当な取得理由があることを確認してもらう必要があります。

相談者

 

やっぱり大変そうですね。でも令和6年3月に始まった広域交付制度で戸籍取得もだいぶ楽になったんですよね。

税理士

 

よくご存じですね!しかし、兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付制度の対象外なんです。また、広域交付制度では配偶者の出生前の戸籍謄本を取得することができず、各市町村役場から直接取得する必要があります。

相談者

 

では、従来通り税理士等の専門家に戸籍謄本の取得を依頼した方がよさそうですね。

税理士

 

はい。しかし、代理人は広域交付制度を利用することができないので、広域交付制度を利用できる部分は自分で取得し、広域交付制度を利用できない部分は専門家に依頼するのがベストだと思います。

相談者

 

でもそもそも遺言書があれば、他の相続人と遺産分割協議をする必要も無く、戸籍謄本を取得する必要が無いということですよね。

税理士

 

いいえ。遺言書も自筆証書遺言の場合には、検認申立てのときに戸籍謄本を提出する必要があります。
公正証書遺言の場合には、検認はありませんが、相続税申告のときには、基礎控除額や法定相続分を計算するため、全ての相続人を明らかにする戸籍謄本が必要になります。

相談者

 

やっぱり戸籍謄本は揃える必要がありそうですね。でも、遺言書を作成しておくと相続人全員の了解を取り付けなくても良くなるというのは大きなメリットですね。

税理士

 

はい。子供がいない場合は公正証書にしろ自筆証書にしろ、遺言書は必ず作成しておいた方が良いですね。

相談者

 

でも、夫は全員相続放棄するだろうと遺言書作成には消極的で、もしものことを考えると憂鬱です。

税理士

 

相続放棄してもらうにしても、疎遠な親戚に連絡すること自体が重荷ですよね。とりあえずAさんだけが先に遺言書を作成してしまうのはどうでしょう。

相談者

 

確かに、私が遺言書を作成してそのことを夫に伝えれば、夫はなんとなく体裁を気にして遺言書を作成してくれるかもしれません。

税理士

 

うまくいくといいですね!

相談者

 

それにしても、遺産の4ぶんの1のために大変な手間をかけたり争ったりするのも生産的ではないように思います。
それに、離婚していないということ自体が配偶者に遺産を渡してもよいという意思表示を含んでいるように思うんですが、逆に兄弟姉妹はどんなに仲が悪くなっても法律上絶縁することができず、相続権が残ってしまうというのは理不尽ですね。

税理士

 

まあ、親から多額に相続した財産を兄弟姉妹に戻したいという方以外では、配偶者がいるのに兄弟姉妹に遺産を相続させたいという要望は、私も聞いたことがありませんからね。

相談者

 

やっぱり、日本も配偶者がいる場合には兄弟姉妹の相続権が無いことが基本となるように制度を改正して、兄弟姉妹にも遺贈したい場合にのみ遺言書を作成してもらうようにした方が実態に即していますし、より多くの国民の混乱と手間を回避できるのではないかと思いますね。

税理士

 

確かにその通りで、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の兄弟姉妹の法定相続分が3ぶんの1から4ぶんの1に引き下げられた昭和55年の民法改正のときには、配偶者がいる場合に兄弟姉妹に相続権を認めないものとすることも検討されました。
しかし、被・相続人に代わって家業を助けてきた兄弟姉妹、農村地帯に居住して被相続人との生活の関わりが深い兄弟姉妹がいることも想定されたため、兄弟姉妹の相続権を否定するのは相当でないという結論に至り、それ以来改正は検討されていないようです。

相談者

 

やっぱり、昭和55年当時と現在では状況が大きく変化しているのに、配偶者がいる場合の兄弟姉妹の相続権の検討がされないなんておかしいですよね。

税理士

 

まあその代わりに、兄弟姉妹には遺留分を認められておらず、もし遺言書があれば遺産を全部配偶者に相続させることができるということになっていますがね。

相談者

 

やはり、子供がいない夫婦にとっては遺言書を作成しておくことがとても重要ということですね。

税理士

 

その分、司法書士や行政書士などの遺言書作成界隈は潤っているのかもしれませんね。

相談者

 

そして、もし遺言書を作成しなければ、配偶者が他界したときには、疎遠な兄弟姉妹との遺産分割交渉を弁護士に依頼する必要がでてくるというわけですね。

税理士

 

鋭いですね。子供がいない夫婦の割合も増加傾向にあるので、民法の改正が望まれるところですが、配偶者がいる場合に兄弟姉妹に相続権が無くなると、法律の専門家にとっては需要が縮小する可能性が出てきますよね。
そして、法律の専門家団体が動いてくれないとなかなか民法は改正されないですよね。

相談者

 

そういうことなら私は負けずに、とりあえず自分で調べながら、頑張って自筆証書遺言に挑戦してみようと思います。

税理士

 

健闘をお祈りいたします!

相談者

 

ところで、相続税の相談ですが、夫が遺言書で全財産を私に遺贈してくれた場合、基礎控除額はいくらになりますかね。

税理士

 

相続税の場合、実際の財産取得者の数ではなく、法定相続人の数を基に相続税の総額を計算することになります。配偶者様には兄弟姉妹は何人いらっしゃいますか?

 

相談者

 

夫には姉と兄がいましたが既に他界していて、それぞれ2人ずつ子供がいます。

税理士

 

そうすると、配偶者と代襲相続人である甥姪4人が法定相続人となるので、3000万円+600万円かける法定相続人5人=6000万円が相続税の基礎控除額となります。

 

相談者

 

もし遺言書があれば遺留分も無くて私が単独で全財産を取得するのに、基礎控除額は大きくなるんですね!遺言書という武器があれば、法定相続人が多いのも悪くないですね!

税理士

 

正味の遺産取得額が1億6000万円までは配偶者税額軽減で相続税額がゼロにはなりますが、正味の遺産額が基礎控除額を超えていれば相続税申告自体は必要になるので、納税者の立場としてはやはり基礎控除額は大きいに越したことは無いですね。

 

相談者

 

そうすると、配偶者がいる場合に兄弟姉妹に相続権が無いほうが、相続税申告が必要な人が増えて、他の法律専門家とは逆に、税理士の需要が大きくなるというわけですね!

税理士

 

これはこれは、一本取られました!

 

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