
日本消費者協会が2017年に調査した結果によると、葬儀全体にかかる費用全体の全国平均は195万円と言われています。
葬式費用は、本来、遺族が負担すべき費用であり、亡くなった人の債務ではありませんが、人が亡くなったことにより必然的に生ずる費用であり、基本的には相続財産から支払われるものであるため相続税の計算上、債務と同様に相続財産からマイナスすることができます。
相続税を計算するとき、配偶者には「配偶者に対する相続税額の軽減」という特例があります。配偶者の相続分が法定相続分(または1億6,000万円のどちらか多い方の金額)以下である場合には、配偶者に相続税はかかりません。
例えば、相続人が配偶者と子一人、相続財産が6200万円、葬式費用200万円の場合で財産を1/2ずつ分割した場合
基礎控除が4200万円で税率が10%となります。
(6,200万円-200万円)-(3,000万円+600万円×2人)=1,800万円
1,800万円÷2人=900万円
900万円×10%=90万円
相続税の総額:90万円+90万円=180万円
180万円を課税価格で配分すると、葬式費用をだれが負担するかで以下のような違いが出てきます。
配偶者に相続税がかからない場合に、配偶者の相続税から葬式費用がマイナスできても意味がありませんよね。
葬式費用をだれが負担すべきかという問題については、次のような見解が唱えられていて、定説はないといわれています。
喪主負担説というのが出てきましたが、誰が喪主なるのでしょうか?
香典は、亡くなった人を供養するために贈られるもの、という考え方もありますが、一般的には葬式費用の負担を軽くするという相互扶助の精神に基づき、葬式費用の一部に充ててもらうために贈られるものと解されています。
したがって、喪主負担説からすれば、喪主が葬式費用を負担することになるため、香典も喪主に贈られるものと解されます。
もし残額が出れば、後の法要などに用いる、というのが適切な使い方となるでしょう。
なお、お香典を貰うのは、故人ではなく、あくまでも遺族ですので、お香典は、相続税の対象となる故人の相続財産には該当せず、相続税はかかりません。
また、社会通念上相当と認められるものについては、贈与税所得税を課税しないこととして取り扱うものとされています。
香典の残額が多額に出るとなれば、子が喪主となり、葬式費用を負担することにより香典も二次相続の課税対象とさせないこともできます。
以上の点から、一般的には子が喪主を行った方が相続税の面からは有利になりそうです。
しかしながら、市民斎場などは喪主が市民でないと利用できない場合は、同居していた配偶者が喪主をせざるを得ません。
また、後継者争いがある場合は、とりあえず配偶者が喪主を行った方が円満に収まる場合もありますので注意しましょう。
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