小規模宅地の要件として、相続開始時から相続税の申告期限まで引き続き宅地等を有していなければならないという「所有継続要件」があります(配偶者が居住用宅地を取得した場合を除く)。
相続後、相続した宅地が不要となり、売却を考える場合には、その宅地が小規模宅地の適用が可能かをまず確認し、適用可能であれば、相続税申告期限までは引き続き保有する必要があります。
ここで留意点が二つあります。
相続税の申告期限まで保有
相続税申告書を提出した後であれば、宅地を売却しても、小規模宅地の特例は受けられると思われるかもしれませんが、申告書の提出後、申告期限までの間に宅地を売却した場合、小規模宅地の特例は適用できなくなります。
不動産売買契約の締結は可能
「所有継続要件」は所有権を有することが求められている規定であり、申告期限内に不動産売買契約を締結したのみでは、小規模宅地の特例の適用は問題が生じません。 通常、売買代金の全額決済が行われた段階で、物件の引き渡しが行われ、所有権が移転することになるため、@相続税の申告期限内に不動産売買契約を締結、A相続税の申告期限後に売買代金精算及び宅地引き渡し、という流れであれば、特例の適用は可能です。
小規模宅地の特例は居住用であれば、評価額が80%減額されるという納税者にとっては重大な特例ですので、適用に当たっては、要件を充足しているか一つ一つ確認しましょう。