なぜ司法書士無料紹介サイトが無いのか?

司法書士は不当誘致に関して具体的に、業務をあっせんされた場合にあっせん料を紹介会社等に支払うことが禁止されています。
あっせん料を支払うためには、クライアントから報酬を多めに受け取らなければ元が取れないからです。
クライアントの方は自分が司法書士に支払った報酬に、仲介業者に支払われるあっせん料が含まれていることなど全く分からないわけです。
これを司法書士が行うと懲戒処分が下されるらしいです。
見積書にきちんとあっせん料が明示されていれば、クライアントもあっせん料を認識することができ、こんなあっせん料まで払いたくないよ、と依頼を取りやめることができるので、懲戒対象にはならないでしょう。
司法書士紹介サイトがあるとすると、クライアントに対しては「無料で司法書士を紹介します」と言って集客し、司法書士がクライアントに対して、「あっせん料も請求させていただきます」と申し出てしまうと、クライアントも「そんなの払えない」と紹介サイトを使わないで司法書士を探すことができるわけです。

税理士の場合も不当誘致禁止の規定はあるのですが、あっせん料の支払いの禁止にまでは踏み込んでいないため、税理士紹介サイトが横行しています。
税理士紹介サイトでは「無料で税理士を紹介します」とうたわれていますが、税理士に対していくらあっせん料が支払われるかは明示されていません。税理士からもあっせん料をもらわないと紹介業者も成立しないということは、経済原理上は理解しているのかもしれませんが、金額として報酬がほとんどぶっ飛ぶほど取られているということまではクライアントは知りません。
紹介サイト中に、「紹介された税理士から○○円あっせん料を頂戴しております。」ということまできちんと明示されていれば、クライアントも、自分の払った報酬がどれだけ紹介業者に回っているかを知ることができるはずですが、そんなディスクロージャーはみたことがありません。
税理士の方も、おそらく見積書に紹介会社に対するあっせん料を支払うなどということはしていないはずなので自分の払った報酬がどれだけ紹介業者に回っているかを知ることができません。

この様な不当誘致の問題が横行しているのに、税理士会が不問に付しているのかがまったく理解不能です。
税理士会の上層部が紹介会社からマージンをもらっているのかと疑いたくなってしまいます。

相続税専門はレッドオーシャンは本当か?

「相続税専門はレッドオーシャン化してるからできない」

という意見を他の税理士からよくききますが、それは状況によってことなります。

その意見をまともにきいてしまい、「法人税の集客にターゲットを絞ろう」と張り切るととんでもないことになる可能性があります。

ベテランの開業税理士はすでに大きい顧問先を多く抱えているため、相続税は単価も高いが、一見さんで作業時間もかかり、補助職員に任せることもできないため、あんまり専門として積極的にやるつもりがないという実情があります。

しかし、開業したばかりの若手税理士は事情が異なります。通常新規で開業しても、経営が安定しているような法人はすでに税理士がついているため、獲得できる顧問先は、新規で設立した法人か、業績が悪化して顧問料が払えず税理士解約した法人しかありません。

特に新規で設立した法人は、手続きやら、顧客開拓やら、やることばかりが多くて、顧問料は1万円しか払えなかったりします。

つまり、新規で開業する税理士にとっては、法人顧問こそがレッドオーシャンなのです。

日本の経済環境からすると、既存の全てのビジネスがレッドオーシャンなのですが、特段継続契約が前提となっている法人顧問等のビジネスはレッドどころかブラックオーシャンなのです。

その点、最近仕事量が激減し、競争が激化していますが、単発の業務の割合が高い司法書士や行政書士などよりも、税理士は開業後の顧客獲得が困難です。

その点、開業したばかりの税理士は「相続税専門はレッドオーシャンだ」と言われても、多少価格を下げて時間もかけて丁寧な仕事をすれば、法人顧問よりも割にあった仕事ができると思います。