なぜ司法書士無料紹介サイトが無いのか?

司法書士は不当誘致に関して具体的に、業務をあっせんされた場合にあっせん料を紹介会社等に支払うことが禁止されています。
あっせん料を支払うためには、クライアントから報酬を多めに受け取らなければ元が取れないからです。
クライアントの方は自分が司法書士に支払った報酬に、仲介業者に支払われるあっせん料が含まれていることなど全く分からないわけです。
これを司法書士が行うと懲戒処分が下されるらしいです。
見積書にきちんとあっせん料が明示されていれば、クライアントもあっせん料を認識することができ、こんなあっせん料まで払いたくないよ、と依頼を取りやめることができるので、懲戒対象にはならないでしょう。
司法書士紹介サイトがあるとすると、クライアントに対しては「無料で司法書士を紹介します」と言って集客し、司法書士がクライアントに対して、「あっせん料も請求させていただきます」と申し出てしまうと、クライアントも「そんなの払えない」と紹介サイトを使わないで司法書士を探すことができるわけです。

税理士の場合も不当誘致禁止の規定はあるのですが、あっせん料の支払いの禁止にまでは踏み込んでいないため、税理士紹介サイトが横行しています。
税理士紹介サイトでは「無料で税理士を紹介します」とうたわれていますが、税理士に対していくらあっせん料が支払われるかは明示されていません。税理士からもあっせん料をもらわないと紹介業者も成立しないということは、経済原理上は理解しているのかもしれませんが、金額として報酬がほとんどぶっ飛ぶほど取られているということまではクライアントは知りません。
紹介サイト中に、「紹介された税理士から○○円あっせん料を頂戴しております。」ということまできちんと明示されていれば、クライアントも、自分の払った報酬がどれだけ紹介業者に回っているかを知ることができるはずですが、そんなディスクロージャーはみたことがありません。
税理士の方も、おそらく見積書に紹介会社に対するあっせん料を支払うなどということはしていないはずなので自分の払った報酬がどれだけ紹介業者に回っているかを知ることができません。

この様な不当誘致の問題が横行しているのに、税理士会が不問に付しているのかがまったく理解不能です。
税理士会の上層部が紹介会社からマージンをもらっているのかと疑いたくなってしまいます。

相続税専門はレッドオーシャンは本当か?

「相続税専門はレッドオーシャン化してるからできない」

という意見を他の税理士からよくききますが、それは状況によってことなります。

その意見をまともにきいてしまい、「法人税の集客にターゲットを絞ろう」と張り切るととんでもないことになる可能性があります。

ベテランの開業税理士はすでに大きい顧問先を多く抱えているため、相続税は単価も高いが、一見さんで作業時間もかかり、補助職員に任せることもできないため、あんまり専門として積極的にやるつもりがないという実情があります。

しかし、開業したばかりの若手税理士は事情が異なります。通常新規で開業しても、経営が安定しているような法人はすでに税理士がついているため、獲得できる顧問先は、新規で設立した法人か、業績が悪化して顧問料が払えず税理士解約した法人しかありません。

特に新規で設立した法人は、手続きやら、顧客開拓やら、やることばかりが多くて、顧問料は1万円しか払えなかったりします。

つまり、新規で開業する税理士にとっては、法人顧問こそがレッドオーシャンなのです。

日本の経済環境からすると、既存の全てのビジネスがレッドオーシャンなのですが、特段継続契約が前提となっている法人顧問等のビジネスはレッドどころかブラックオーシャンなのです。

その点、最近仕事量が激減し、競争が激化していますが、単発の業務の割合が高い司法書士や行政書士などよりも、税理士は開業後の顧客獲得が困難です。

その点、開業したばかりの税理士は「相続税専門はレッドオーシャンだ」と言われても、多少価格を下げて時間もかけて丁寧な仕事をすれば、法人顧問よりも割にあった仕事ができると思います。

DM便 受け取り拒否のやり方

ダイレクトメールって、事務所の所在地が公表されていると無用に送られてきて、紙の封筒に入って送られてくれば開封せずに丸ごと紙ごみとして廃棄可能なんですが、ビニール封筒に入っているような場合だと分別するために開封する必要がありすごくめんどくさいです。しかも、事務所の場合は紙ごみも事業ごみとして廃棄しなければならないため費用が掛かります。DMを何とか手軽に返送できないか検討しました。

郵便で来るダイレクトメールについては、日本郵便のホームページで下記のように公表されています。

「架空請求、いたずら等、迷惑な郵便物を届けてほしくないのですが、どうすればよいのでしょうか?
迷惑な郵便物等が届けられた場合、受け取りを拒絶することができます。

郵便物等に下記事項を記載したメモ、付せんを貼り付け、配達担当者にお渡しいただくか、郵便窓口にお持ちいただくか、郵便ポストに投函していただければ差出人さまへ返還します。

「受取拒絶」の文字
受け取りを拒絶した方の印を押印又は署名を記載
郵便物等の開封後は、受け取りを拒絶することはできませんので、ご注意ください。
当社が配達した郵便物等でないものは、上記の方法により受け取りを拒絶していただくことはできません。
当社が配達した郵便物等でないものの主な例は、その表面に「これは郵便物ではありません」、「○○メール便」といった表示がされているものです。
これらの配送物については、その配送物の運送サービスを行った事業者さまにご連絡ください(配送物の表面に連絡先が記載されているものもあります。)。」

非常に便利なシステムです。
「受取拒絶」のスタンプもネットで販売されています。
しかし、郵便物ではなく日本郵便以外に配達されたDM便等の場合、上記のように郵便ポストに投函することはできません。

某宅配業者社DM便の場合は、荷物のセールスドライバーに渡せば返送してくれるとネットで書かれていたのを見たので、セールスドライバーに返送を依頼してみたのですが、「そういうサービスはやってません」と拒否され「自分で発送元に2度と送らないように連絡してください」とのことでした。地域によって扱いが異なるんでしょうか?

納得いかなかったので、

「○○運輸株式会社
 配達担当店 御中

 平素誠にお世話になっております。
 下記住所宛ての○○DM便につきましては、全て不要なものであり、破棄処分等のための費用負担及び事務負担も大きいため、一切投函せず全て破棄もしくは差出人に返送いただきますようお願いいたします。

 ○○DM便投函停止住所
  東京都○○市○○町○丁目○○
  ○○事務所          」

という文書を普通郵便で送付しました。
文書で送付してあげることにより、受取人の意思が確認でき、宅配業者としても安心して処分することができ、トラブルが発生して配送業者の責任にはならないと考えたからです。問題としては、全てのDM便を拒絶することになるため、DM便もごくたまに商品等を封入してくることがあり、そういったものは受け取れないことになります。しかし、DM便は基本的にはDMしか入れることができず、商品を封入するのは規約違反ということになります。したがって、注文した商品等が届かない場合で、DM便で送られてきていたとわかった場合には、発送元にDM便での送付は規約違反のため他の方法でお送りいただくように連絡することになります。

この文書を送った数日後、セールスドライバーの方がやってきて、
「先日も申し上げた通り、そういうサービスはやっていません。自分で発送元に2度と送らないように連絡してください。」と言われたので、
「サービスをやってくれとは頼んでいない。むしろ無用な配達サービスを提供しないでください。送らないように連絡するにしても初回のDMは不本意に受け取らなければならないことになる。」と申し上げました。
「発送元から料金を頂戴して配達を依頼されているので、配達は完遂する必要があるんです。」と言われたので、
「発送元がDMを発送して良いか否かを受取人に確認していることを確認した上で依頼を受けているんですか?」と尋ねたところ、
「そんなことはしていない。」とのこと。
「それなら、受取人にとっては依頼も何もしていないゴミであるDMを発送元に不法投棄するように御社に依頼し、自社の金儲けのことだけを考えて受取人の郵便受けに不法投棄していて回収もしないというのはあまりに身勝手な行為ではありませんか?」と申し上げました。
「今回はとりあえずそういうことはできないということを伝えに来ただけなんで」と言われたので、
「とりあえず、徹夜続きで疲れていてまだ仕事が残っているので、あんまり話していられません。配達しないことができないにしても、私の意思は変わらないし文書も撤回しないので、私の意思に反して配達するならしてください。」と申し上げると、
「それだと困ってしまいます。とりあえず上司に相談してみます。」とのことでした。
数日後セールスドライバーが来られて、「上司の了解が出たので今後はDM便は配達しません。その代わり、トラブルが生じても責任は負いかねます。」と言われたので、
「はい。当然のことです。」と答えました。

その後は、DM便は一切届いておりません。通販等ではその会社の宅配便を使わない業者を選んでいますが、お客様が下さった贈り物等はちゃんと届けていただいています。

DM便を拒否されたい方は、個別対応なので確実ではありませんが、上記の類の文書を送付してみることをお勧めします。

宅配業者のDM便は、せめて
1、DM便受託時に発送元に送付先が受領に同意しているかどうかを確認する。
  (確認の際、発送元が虚偽の申告をしたことが発覚した場合には、以後受託拒否する。)
2、受け取り拒絶の手段を確保する。(現実的に可能で具体的で統一的な方法を文書等で明示する。)
のどちらかは実施するべきです。
そうでなければ、不法投棄と同じですから。

メールやFAXはオプトイン規制と言って、相手方の承諾なしに公告を送ることが禁止されているのに、処分費用がかかるDM便等に規制がないのは不合理なので、DM便等も将来的に規制がかかることを期待します。
しかし、日本郵便株式会社の利益を確保するためには、ゆうメールの規制もなかなかできず、宅配業者のDM便だけを規制するのも不公平になるため規制が難しいのが現状でしょうが。

現状の状態ですと、DM発送業者にアドバイスするとすれば、簡単に開封せずに返送できるゆうメールよりも、宅配業者DM便の方が処分のために一度は開封することになるので、宅配業者DM便の方が効果的な宣伝方法と言えるでしょう。

freeeってどう?

freeeって良いクラウドシステムかも知れませんが、営業マンは非常識でいつも頭に来ていました。

テレアポして来て「○月○日○時に1時間お時間いただけないでしょうか?」、と言われて断ると「だったらいつなら1時間時間がとれるんですか?」とキレ出す。

1時間割いて話を聞いてあげれば、「クラウド導入できるクライアントをピックアップしてください」という話になって、他のクラウド会計と比べて短所を指摘し、クライアントに提案しづらいと言うと、短所について弁明するわけでもなく、「1時間しかないので、話を本題に戻します」という。短所が克服できないとクライアントには紹介できないわけですから、そっちが本題のはずなんですが。

IT補助金もfreeeで使ったのですが、「3つ星になるので顧客紹介が増える」と言ってた癖に1件も紹介がないという詐欺ぶり。

電話もコストカットのためIP電話だからか聞きづらくて、「そこでコストカットするなら余計な電話をかけて来ないでくれ」といいたいです。

個人的には頭に来ることが多かったものの、他のクラウド会計と同様にお客さんにとって一番いいものを紹介しようと思ってましたが、freeeを紹介した結果、当然に対応していると思いこんでしまっていたクレジットカードが使えないと判明し、自腹で1ヶ月分の料金をお客さんに返金しました。解約も、招待者を削除しないとできないなど、複雑。料金払っている人が今後払わないってことなら、解約で良いはずですが、なんだかんだで解約を妨げるんです。

freeeは現金払いが多ければレシートのOCRが他のクラウド会計よりも精度が良いですが、現金払いを減らすことは可能ですし、月次推移が見られるプランが他のクラウド会計の2倍かかるしで、もはや勧める価値がありませんので、他のクラウド会計の方をお勧めします。

営業の丁寧な断り方

営業マンが事務所に来た場合は、全て断っています。今の時代にインターネットで大体のものは購入できるし、購入できる場所は少なくともわかります。

必要なものは必要なときにだけ調べて購入できれば良いので、わざわざ営業マンに提案してもらう必要はありません。

営業マンは良い人でも悪い人でも、一か八か飛び込んで来るため、ほとんどが断られて契約不成立で終わります。

契約不成立分の人件費等のコストを含んだものを購入するのは非常にもったいないことです。

そのため、飛び込み営業やテレアポ営業をしてくる会社のものは絶対に購入しないことに決めています。

さらに、そういう営業は徐々に消滅してほしいので、事務所に来られても、「営業あいさつは全てお断りしています。」と全否定します。

名刺交換もしませんし、「名刺だけ置いていきます」と言われても断ります。

税理士という仕事は、調べ物や計算等の事務作業も多く、お客さんと面談が無くスケジュールが空いていても、その時間は事務作業に当てないとどんどん仕事がたまっていきます。

「いつなら時間がとれるか」と聞かれても答えられません。空いている時間でも、お客さんの相談で埋まる可能性もありますし、そうなった場合にいちいち断りの電話をかけるために、名刺を探したり連絡先を探したり、電話してもつながらなかったりと、余計な時間を取られます。

営業の相手をするということは、工場のラインをストップするということなのです。

営業は断られるのも仕事のうちかもしれませんし、断られることにより成長するのかもしれませんが、営業される方としては、話を聞かされても何の勉強にもなりませんし、時間の無駄になるだけです。

「30分だけでもお時間いただけないでしょうか?」というのも30分あれば、他にやらなければならない仕事があります。

丁寧に断ろうとしても無理だと思った方がいいでしょう。丁寧に断ろうとすると、断ったあと「ああ言えばよかった」という後悔が残り精神的なダメージとなります。

営業マンはきっぱりお断りして、人に迷惑をかけるような仕事は止めてもらいましょう。

協会けんぽと土建国保

国交省では現在、建設業許可業者に対し、社会保険の100%加入を目指す取り組みを行っています。

社会保険未加入政策に取り組む理由の一つは、深刻な若年層の建設業離れに歯止めをかけ、人材を確保するためです。

「許可・更新時の確認・指導」「立ち入り検査」「経営事項審査」や「指名競争入札」の際に保険の確認がされているようです。

1.医療保険制度

国の医療保険制度には、国民健康保険、健康保険、共済組合、後期高齢者医療制度等があります。協会けんぽと建設国保は、どの保険制度に該当するのでしょうか?

A.健康保険協会けんぽ(旧政府管掌)・組合管掌

B.国民健康保険-市町村管掌・国民健康保険組合管掌(建設国保等)

2.加入資格

協会けんぽ-従業員5人以上の個人事業所や法人は、加入が義務付けられています。すでに建設国保に加入している被保険者については「健康保険の適用除外」の承認を受けることで、継続して建設国保に加入することもできます。

建設国保-建設業に携わっている方で、原則、従業員が常時5人未満の個人事業所や一人親方の方が加入できます。

3.保険料と給付

協会けんぽ-保険料は、事業主と被保険者が折半で負担します。(任意継続被保険者を除く)保険料の額は、被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率(一般保険料率+介護保険料率)をかけた額となります。保険料率は都道府県ごとに異なります。扶養家族に対する保険料は不要です。

建設国保-保険料は区分ごとの定額制です。被保険者の保険料分に対する事業主負担はありません。建設国保も国民健康保険なので、市町村の国保と同様に、被保険者が保険料を全額負担することになります。事業主(会社)側にとってはその分経費節減になります。被保険者の世帯の保険料額は、組合員の仕事の形態、年齢、家族の人数に応じた額となるため、扶養している家族が多ければ、保険料も上がります。

ここでは一例として、40歳未満で月24万円の従業員(介護保険料非該当)のケースを見てみます。※平成29年3月分以降の保険料率(東京都)

保険料負担面 所得保障面(病気で入院)
会社 従業員 会社 従業員
健康保険
(協会けんぽ)
に加入した場合
11,892円/月
※従業員全員分の
半額を会社が負担
11,892円/月 5,333円/日
※最大1年6か月
建設国保の場合
(例:東京土建)
0円/月 18,400円~/月
※年齢・扶養数等
によって変動
4,400円/日
※最大180日

4.まとめ

会社負担と従業員負担とで分けて考えてしまうと、会社側にとっては建設国保の方が負担が少ないというメリットがあり、従業員側にとっては協会けんぽの方が負担が少ないというメリットがあると言えます。しかし、保険料も給料も会社にとっての同様のコストであると考え、従業員の保険料負担分を給料で補てんすれば、会社負担と従業員負担のトータル保険料が少なくなる方が良いという考え方も可能です。その場合、下記のマトリックスも参考にしていただければと思います。

扶養家族 給与
協会けんぽ 変動しない 変動する
建設国保 変動する 変動しない

 

また、建設国保の場合、支部により異なりますが、毎月支部に組合費・保険料を支払いに出向かなければならなかったり、集金係をするように頼まれたりとかという煩わしさがある一方、社会保険関係の手続きを代行してくれたりとか、アドバイスが受けられたりもするので心強いとも言えます。支部の方針を情報収集しておくことも重要といえます。

なお、建設国保等の組合国保を選択する場合には、社会保険の加入義務が生じる前から組合国保に加入していることにより、継続加入という選択が可能になるため、個人事業主の場合は従業員が5人以上になる前に、会社の場合は設立前に組合国保に忘れずに加入しましょう。

個人事業主から法人成りの目安となる所得は?

個人事業主から法人成りを検討するにあたり、

「所得税は累進課税だから所得が大きくなるほど税率が高くなってしまうため、所得税率が法人税率を超えるほど所得が大きい場合は法人成りしたほうが節税になる。」

と説明する税理士もいたりするらしいですが、それは全くのデタラメです。

この理屈は、法人成りした場合に社長がもらう役員報酬が年間103万円以下(所得控除が基礎控除のみの場合)の場合のみ成り立ちます。

所得税率と法人税率を比較すること自体、ほとんど意味のないことです。

個人事業主も会社経営者も、利益(自分の給料控除前)をあげて、その利益から自分が給料をもらいます。個人事業主の場合は、利益=自分の給料となります。

  1. 個人事業主の場合は、事業と個人が一体
    • ⇒所得税+個人住民税(事業所得)のみ
  2. 法人役員の場合は、法人と個人が別人格
    • 法人税+法人住民税+所得税+個人住民税(給与所得)

つまり、利益(自分の給料控除前)に対する1.所得税+個人住民税(事業所得)と2.法人税+法人住民税+所得税+個人住民税(給与所得)の両者を比較するべきなのです。そして、2.の場合、個人が生活していかなければならず、給料(役員報酬)をもらわないわけにはいかないため、所得税(給与所得)はゼロにはできないのに対し、役員報酬控除後の利益がゼロ以下になってしまい法人税がゼロになることは考えられます。したがって、2.の場合、必ず検討すべき重要な税金は、所得税(給与所得)であって、法人税ではないのです。

まだ、余って積み立てておくほどは利益が出ていなくて、利益が出ればそのまま自分の給料としてもらっておきたいと仮定した場合※は、法人の利益がゼロとなり、法人税と法人住民税(法人税割)はゼロになりますが、法人住民税(均等割最低7万円)は残ります。

※あくまで仮定です。役員報酬が損金として認められるには定期同額給与等の制約があります。

したがって、

  1. 個人事業主の場合の所得税(事業所得)
  2. 法人役員の場合の所得税(給与所得)+法人住民税(均等割最低7万円)

の両者を比較するのが、最も単純で分かりやすいでしょう。

税額だけで比較した場合、

  1. 事業所得では、青色申告をすれば青色申告特別控除の65万円しか所得控除が無い
    • (α※-65万円)×(所得税率※+住民税率)
  2. 給与所得では、最低65万円、最高220万円(給与支払額1,000万円超の場合)の給与所得控除がある
    • (α※-給与所得控除)×(所得税率※+住民税率)+法人住民税(均等割最低7万円)
  • ※α=利益(自分の給料控除前)-各種所得控除(配偶者控除等)
  • ※所得税は超過累進税率のため、一つの税率ではありません。

つまり、1.個人事業主の場合の税額-2.法人役員の場合の税額

=(α-65万円)×(所得税率+住民税率)-{(α-給与所得控除)×(所得税率+住民税率)+法人住民税(均等割最低7万円)}

=-65万円×(所得税率+住民税率)-{-給与所得控除×(所得税率+住民税率)+法人住民税(均等割最低7万円)}

=(給与所得控除-65万円)×(所得税率+住民税率)-法人住民税(均等割最低7万円)

がゼロを超えるかどうかが、法人成りによって税金に関して損するか得するかの目安になります。

つまり、給与所得控除による減税効果が7万円を超えるかどうかが目安となります。

扶養親族が1人の場合、利益(自分の給料控除前)が概ね269万円を超えると、法人成したほうが税金が安くなります。

しかし、これはあくまでも税金に限定したお話です。

法人成りすると、法人は社会保険適用事業所となり、役員も社会保険に加入しなければなりません。したがって、国民健康保険・国民年金と社会保険の比較も必要となります。社会保険がまた高いので後日検討します。

なぜMVNOが格安なのか?

3大キャリアに卸売業者は不要

スマホデータ通信をMVNO(格安SIM)に乗り換えたことを先日お話ししました。

MVNOは無線回線設備を持っていません。

3大キャリアと言われるdocomo、au、Softbankから無線回線設備を利用する権利を買って、自社ブランドとしてユーザーに安く転売しているのです。MVNOはいわば卸売業者のような形です。

  • 3大キャリア  ⇒  ユーザー
  • 3大キャリア⇒MVNO⇒ユーザー

通常であれば、卸売業者が入ればユーザーに転売される価格はマージン込みの価格になるため直売価格よりも高くなるか、同程度の価格にしかなりません。ましてや、携帯電話会社はある程度全国で店舗を展開し、自社でユーザーに直接サービスを提供する能力があるため、卸売業者に利益を取らせる必要はありません。つまり、3大キャリアがアウトレットのようなものをMVNOに格安で元売りしない限りは、格安料金でスマホを使えることは、通常の市場原理ではあり得ないわけです。


なぜMVNOが格安なのか?

ところが、なぜMVNOが格安料金で成り立つのか?裏がありそうで、品質面が心配になりますよね?

もともと、3大キャリアは総務省から周波数を割り当てられており、割り当てられた周波数の販売を3大キャリアに寡占されている状況です。そのため、3大キャリアの料金体系はほぼ横並びとなっており、ユーザーのニーズに応えていないという状況がありました。

この寡占状況を解決するため、総務省がMVNOを支援する方針を打ち出しました。

そのような経緯もあり、3大キャリアの中でも最もビジネスライクなSoftbankはMVNOとの提携に最も消極的ですね。ユーザーのニーズに応えるためにiPhoneなど新しいものを導入してきたSoftbankですが、やはり、行政主導の施策のせいで自分の利益を取られるのは気にいらないようです。他に格安で卸売りするくらいなら、Y!mobileで格安で直販したいというのが本音なのでしょう。Y!mobileも格安SIMと比べると高いですが。株主が利益にシビアなため仕方がない面もあります。


日本の携帯電話料金は高くないのか?

日本の携帯電話料金は高くないと孫正義社長はおっしゃいましたが、それは、日本では周波数オークションが無いからだと思います。日本でも、周波数オークションが実施されれば、携帯電話料金はもっと高くなる代わりに、割り当て代金が国の収入となり、税金負担が減ることになります。だから、日本の携帯電話料金は、周波数オークションが無い分、もっと安くなるべきなのです。

しかし、総務省がSoftbankに対して、MVNO業者である日本通信との協議再開命令の方向に動くと、Softbankも日本通信との協議に合意しました。

このように、携帯電話市場の市場原理が正常に機能するように、総務省は、MVNOが3大キャリアと公平に協議ができるように後押ししているため、3大キャリアは、不本意ながらもMVNOに安く、無線回線設備を利用する権利を販売しなければならなくなってしまっているのです。

したがって、MVNOが格安で通信サービスをユーザーに提供できるのは、決して品質が悪いからではなく、寡占状態によって高くなってしまっている通信料金を正常にするために、MVNOが3大キャリアとの交渉で不利にならないように、行政機関が指導監督を行っているからなのです。

総務省を信じて、安心してMVNOを利用しましょう。

2年縛りがまだ残っているユーザーが2台持ちで得する方法

携帯電話代が高い!

スマホの携帯電話料金が高くてお困りの方も多いと思います。

私も今まで、SoftbankのiPhone5cを使ってきましたが、料金月額は、

  1. ホワイトプラン     934円
  2. パケットし放題フラット 5,700
  3. ウェブ使用料(i)    300円
  4. テザリングオプション  500
  5. Softbank以外に発信するときの楽天でんわ代 30秒10円

合計 7,434円(税抜)+楽天でんわ通話料(月々3,000円くらい)でした。

MVNO(格安SIM)が安いということは、よくネットで宣伝されていましたが、2年縛りもまだ残っているため、あまりよく考えていませんでした。周りにも利用している人がいませんでしたので。

しかし、妻のdocomoの携帯電話の2年縛りが今月から2カ月更新期間となるということで、考える機会ができ、MVNOを使ってみることにしました。

 


MVNOが向いている人は?

MVNOが向いている人をまとめると、

  1. 機種変更後2年超の携帯電話を持っていて、月々割等の割引が終わってしまっている人
  2. 自宅に固定のWi-Fi環境が整備されている人
    • 自宅でWi-Fiを使っていれば、月7GBも使わないですね。私は2GB程度です。
  3. 通勤時間が短い人
    • 通勤時間の暇つぶしでネットサーフィンすると大量にデータ量を消費します。最近では満員電車で文庫本なんかを読んでいると、白い目で見られるようになってしまいました。
  4. キャリアメール(docomo.ne.jp等)が不要な人
    1. キャリアメールが無いと使えないサービス(タイムズカープラス等)もありましたが、今ではほとんどなくなっています。
    2. 友達でガラケーの人がいる場合は、キャリアメールじゃないと迷惑メールとみなされて受信できないなんて人もいましたが、スマホ全盛の最近はそれをやると連絡に支障をきたすため、無条件に迷惑メールにならないようにしているハズ(?)です。(私の場合は、Gmailで複数のアドレスを一括で管理しているのですが、キャリアメールはPOP3に対応していないため、キャリアメールは放置されている状態でした。)
  5. 通話が頻繁であっても、通話時間が短い人
    • 5分以内かけ放題等は提供しているMVNOが多い。長電話かけ放題は大手キャリアの方が良い
  6. 仕事等で長電話をすることが多いが、スマホ+ガラケーの2台持ちが苦にならない人
    • データ通信専用スマホとかけ放題用ガラケーの2台持ちなら、3大キャリアの違約金も徴収されずお得に利用できます。
  7. 家族でスマホを利用する人
    • 3大キャリアでもデータ量を分け合えますが、家族それぞれがデータ定額プランに加入しなければならなかったり、子回線のオプション料金が500円かかったりします。通常は、データ量が増えるほど、データ量あたりの料金は逓減していくので、2契約分のデータ量を相互にやり取りするよりも、1契約分のデータ量を2つのSIMで分割できたほうが、安く済むわけです。IIJmioの場合は、1契約分のデータ定額料金で2つのSIMを持つことができるため、かなり割安になります。

の様なので、MVNOを利用することにしました。


IIJmioを選びました。

IIJmioは、MVNO参入が早く、企業相手の取引が多いため比較的信頼でき、SIMカード追加等の手続きはBICカメラが窓口になるため、実店舗がない他のMVNOよりも安心できるため選びました。

また、仕事に電話を使うため長電話かけ放題プランがあるMVNOも検討しましたが、もしもシークスデータ量の繰り越しができないのと、プラン変更の手数料が高いため対象外とし、NifmoTONEモバイルIP電話でのかけ放題で、IP電話の通話品質の低さに散々な目にあっていたので対象外としました。(freeeの営業さんと通話するとき、いつもIP電話からかけて来られるため、ブツブツ切れて聞き取れず、つい毎回「IP電話やめてくださいよ!」と言ってしまいます。今後は下記の通りかけ放題となったため、こちらからかけなおすようにします。)

さらに、Softbankの2年縛りも1年以上残ってしまっていたため、違約金を支払うよりはSoftbankの契約もガラケーに機種変更して、スマ放題で通話専用のガラケーとして契約を生かすことにしました。

IIJmioで使用するiPhoneは、docomoかauのiPhoneでないと使用できないので、もともと持っているSoftbankのiPhone5cは引退させ、SIMフリーiPhoneSEをAppleストアで購入することにしました。(SoftbankのiPhoneを利用できるMVNOも2017年3月に誕生するそうです。)

本当は、もともと持っているSoftbankのiPhone5cを通話専用にしたいところですが、SoftbankのiPhoneでは通話のみの契約ができません。docomoは通話のみの契約ができるらしいですが、docomoのiPhoneはMVNOで使用できるので、MVNOに流用したほうが賢明です。


月額料金はいくらになるのか?

データ通信用IIJmioとSoftbankガラケー(メールもネットも無し)の2台持ちの料金月額は、

  1. Softbank スマ放題(ガラケー用2年契約)        2,200円
  2. IIJmio データ通信専用SIMライトスタートプラン(6GB)  1,520円
  3. テザリング利用料                    無料
  4. SIMフリーiPhoneSE64GB(Appleストア)24回払い月額  2,037円

合計 5,757円(税抜)になりました。

得した額は、1,677円+楽天でんわ通話料(月々3,000円くらい)となります。

移行にかかった費用は、

  1. Softbankガラケー103P(新品同様品)購入代金 1,666円
  2. SoftbankSIM変更手数料          3,000円
  3. IIJデータ通信専用SIM購入代金        295円

合計 4,961円になりました。

103Pを選んだのは出回っているSoftbankガラケーの中で、一番出回っていて中古相場が安かったからです。

私もそうでしたが、SoftbankでiPhoneデビューするまではdocomoを使っていて、iPhoneデビューとともにSoftbankに乗り換えたという方が多いので、Softbankの中古ガラケーは供給量が少ないみたいです。周りの人たちが古いSoftbankガラケーを持っていて譲ってもらえれば良かったのですが、誰も持っていませんでした。

105SH202SH301Z等も多く出回っていますが、シンプルスタイル(プリペイド携帯)でも使用されている機種なので、もしシンプルスタイルとして登録された機種に当たってしまうと、シンプルスタイル以外の通常プランでは利用できないため回避しました。実際に、USIMを挿して利用できてもSoftbankショップで受け付けてくれないみたいです。(301Zを持っていったら、やはり受け付けてもらえませんでした。シンプルスタイル利用期間が終了してもやはりダメだそうです。)


家族で使うともっとお得?

IIJmioの場合、音声通話付きSIMをもう1枚追加してもプラス月700円で可能で、更に月830円追加すると、5分間通話し放題付きになり、現在6GBの通信量も分けあえるということで、2人でも毎月3GB使うか使わないかのため、妻のDoCoMoもIIJmioに移せば、

  • 月額830円+700円=1530円+α(5分超の通話分

のみで済むので、更に7,000円は節約出来る見通しです。

データ通信については、Softbankよりもむしろ速く感じられたくらいです。通話についても、おそらく楽天でんわと同様の品質であるとすれば、3大キャリアと同様だと思います。


注意点は?

注意点としては、

  1. パケット定額料金はどこのキャリアも月途中で解約しても月末までの料金をきちんと取られるのに対し、加入は日割り計算のため、MVNOが初月無料キャンペーンなどを行なっていなければ、月末に移行した方がお得です。
  2. あと、Softbankショップに行ってSoftbankのiPhoneSIMが使えなくなる前にLINEの機種変更処理をしないと、メッセージ履歴が全部消えるおそれがあるので注意して下さい。(私は間違えて焦りましたが、iCloudDriveにバックアップしたため助かりました。iCloudDriveのバックアップは次のiPhoneでLINEを導入する前に行わないと、LINE導入のときにiCloudDriveのバックアップを復元するかどうかの質問自体が出ないので注意が必要です。何れにしても、LINEの移行は方法を調べながら慎重に行なって下さい。)

といったところです。

経費節減の参考になればと思います。

Amazon.co.jpのデータを仕訳に取り込めるか?

Amazon.co.jpで事業用の物品を購入する事業主にとって、クラウド会計システムにAmazon.co.jpの注文履歴データを取り込めるかどうかは重要な問題です。

楽天で物品を購入した場合は、楽天市場の中の店舗名までクレジットカード利用明細データに取り込まれるのに対し、Amazon.co.jpで物品を購入した場合はクレジットカード利用明細データを取り込んでも、明細上はAmazon.co.jpと表示されるだけで、豊富なAmazon商品の中の何を買ったのかを、日付と金額だけで思い出せなければなりませんし、自動で勘定科目候補が表示される機能も、Amazon.co.jpの表示だけでは何を購入したのかを識別できず、手入力の手間が増えてしまいます。

また、Amazon.co.jpの場合は、家事用と事業用でアカウントを分けてしまうと、Amazonプライム会員の会費を二重で払わなければならないため、アカウントを家事用と事業用で分けていない方も多いと思います。そうすると、勘定科目の問題のみならず、必要経費に算入できるのかできないかも間違えてしまうリスクが高まります。

そこで、やよい会計オンライン、freee、MFクラウド会計のうちどれがAmazon.co.jpのデータを取り込めるのかを検証します。

やよい会計オンラインの場合は、

  1. 家計簿アプリzaimのデータを取り込める。
  2. 家計簿アプリzaimはAmazon.co.jpデータを取り込める。

ということは、やよい会計オンラインにAmazon.co.jpデータを取り込めるのかと期待を膨らませました。

しかし、「サービスの連携」でzaimを連携した後、「サービスの取得設定」というのがあり、そこにはAmazon.co.jpが表示されることはありませんでした

Amazon.co.jpの注文履歴データには、日付・金額・品目以外のデータも含まれてしまっているため、必要部分のみ抽出するのに高度な技術を要するということなのでしょうか?

対応している金融機関に「ECサイト」とあるのですが、Amazon.co.jpがダメで、一体どのECサイトなら取り込み可能なのかがよくわかりません。やよい会計オンラインは早急に対応するべきでしょう。

というわけで、Amazon.co.jpを頻繁に利用する方は、Amazon.co.jpのデータを取り込める、freeeかMFクラウド会計を利用することをお勧めいたします。

よく、クレジットカードとECサイトのデータを両方取り込んでしまうと、二重仕訳のミスを防ぐことができないなどと、クラウド会計システムに消極的な税理士は言ったりしますが、そんなことはありません。

クラウド会計システムに取り込んだクレジットカードのデータに、Amazon.co.jpの行が表示されたら、「対象外」(MFクラウド会計)もしくは「無視」(freee)とすれば二重計上してしまうことはありません。

ただし、キャンセル等でクレジットカード上「マイナス」表示されている行については、Amazon.co.jpであっても、「対象外」「無視」としないようにしましょう。Amazon.co.jp注文履歴データには、キャンセルした注文についても表示されてしまうため、二重計上となってしまいます。そこで、クレジットカード明細の「マイナス」と相殺するわけです。